訪日外国人インバウンドがもたらす変化 ~非日常から日常へ~

インバウンド市場の急激な増加は、我々が通常目にする日常に変化を起こしています。日頃様々な場所で、外国人観光客を見る機会が増えたと気づく方は少なくないのではないでしょうか?詳細な数字は別の機会にお伝させていただきますが、2015年の訪日外国人の総数は1,973万になりました。こちらは東京都と千葉県の全人口を合わせた数とほぼ同数で、九州と四国に住む人々の合計よりはるかに多い人数です。東日本大震災による風評により、訪日外国人数が極端に落ち込んだ2011年の622万人(2010年は861万人)からわずか4年で3倍強に増加しています。

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これだけでも驚くような数字であり、変化ですが、注目すべきなのは訪日外国人の大部分は観光目的の旅行者であり、当然のことながら滞在期間中は宿泊施設に籠っているのではなく日中は様々な場所を訪れるアクティブな行動を取るということです。終日街に出ている以上、我々が訪日外国人を目にする機会は飛躍的に増えることになります。彼らが平均7泊滞在するとして、延べ換算でほぼ日本の全人口(幼児から高齢者まで全て)と同じ数の外国人旅行者が、街中や観光地を日中訪れ、食事をし、買い物をする計算になります。その姿はやはり非常に目立つ存在として我々の目に入ってきます。

例えば渋谷のスクランブル交差点では、当たり前のように外国人観光者が日中を問わず交差点の中央で写真を撮影しています。我々からしたら通常の光景は、彼らからすると撮影すべき被写体なのです。この姿は既に日常の光景となっています。

私自身の経験としては、最近何回か築地市場を訪れて、築地場内市場のいわゆる人気店で食事をしようと試みました。しかし、そのようなお店は海外から来られた観光客(もちろんに日本人の方もいますが)が長蛇の列を作っており、食事することをあきらめざるを得ませんでした。数年前なら、人気店でも少し並べば食事することは可能でしたし、何よりもその頃は食事をする際に外で列を作るお店は限られていました。現在はほとんどの店で列を作ること自体が当たり前となり、待たないで食事をとれる機会がほぼなくなったと言わざるを得ません。

これは近隣で働いていた方々が、昔は当たり前のようにランチタイムなどに通っていたお店に入ることが出来なくなったという事にもなります。つまり、日常であったランチタイムの食事が、外国人観光客の増加によって非日常の姿となり(並ばないと食事ができない)、その状況が続くことにより日常化してしまった事になります。日常が、非日常になり、その非日常がいつの間にか日常となる変化が訪日外国人の増加により、様々な場所で起こってきています。

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今後インバウンド市場で外国人観光客の集客を行うに当たって、この状況を肌感覚で理解することは非常に重要となってきます。現状を見極め、把握し、対応するオペレーション力を業務の中で培っていく力の差がじわじわと業績に表れることでしょう。増加した訪日外国人に対して何の準備も行っていない店舗は、インバウンド市場からは見放されることになります。簡単な外国語表記のメニューを作成する。挨拶だけでもその国の言葉を覚える。その国固有の文化から生じる日本人との違いを理解する努力をする(例えば、韓国人は食事の際おかずはお箸で食べ、ご飯はスプーンで食べる傾向があります)などの細かい気づきを認識し、それに対する取り組みを重ねていくことが、インバウンド市場から継続して収益を生み続ける際のポイントなります。

我々のコラムでは、このような気づきを定期的に発信していきたいと考えています。インバウンド市場は刻々と変化していきます。2011年に現在の状況を予想した人々がどれだけいたことでしょうか?もちろんこの変化は喜ぶべきことであり、全力で対応すべき市場です。まるごと日本のマーケット1つが増えたような市場の変化は早いです。常にアンテナを張りながら、現在の状況を受け入れ、対応し、リードできるような情報をお届けします。

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