インバウンド市場とは ~訪日外国人数の現状と推移~

前回定義しましたように、我々のターゲットとするインバウンド市場とは日本に滞在したことがある外国人から派生する全ての関連市場です。インバウンドブランディングの目的は、集客のみにあるのでは無く、来日して貴社を知ってもらったお客様に、継続的に貴社のサービス・商品のファンになってもらう事にあります。

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言うまでもなく、現在この市場は非常に注目を浴びています。それを牽引するのは、好調に推移する海外からの訪日外国人数の伸びにあります。訪日外国人の数が全てではありませんが、インバウンドブランディングを行うに当たり、ある程度の訪日外国人数に関する知識は必要でしょう。以下、記憶しておくべきデータ、数字、そしてその変遷についてお伝えします。

まず、頭に入れておいていただきたい事は、訪日外国人数は“この数年で急激に伸び、その伸びは以後数年続くことが予想されるが、ある一定の数字で安定すると推測される”という事実です。2015年の訪日外国人数は前年比147%の1,973万人となりました。こちらは日本が小泉純一郎首相の下、ビジットジャパンキャンペーンと銘打って、世界の観光大国を目指すことを宣言した2003年の521万人から約3.8倍となっています。日本の人口は約1億2700万人ですので、人口比にして約15.5%もの外国人が日本を訪れていることになります。2016年に入っても順調にその数字を伸ばし、日本政府の目標とした2020年に2,000万人の外国人を受け入れるという目標を2016年中に達成すると予測されています。今、政府はこの目標を2020年に3,000万人と上方修正する動きを具体化しています。

訪日外国人の推移としましては、キャンペーンの始まった2003年以降は順調な伸びを見せ、リーマンショックの影響のあった2009年と、東日本大震災により大幅に外国人観光が激減した2011年を除いては全てプラス成長を見せています。中でも2013年からの伸びは関係者の予想をはるかに上まわり、前年比129%(2014年)、147%(2015年)と他産業からみてうらやましいほどの成長を見せています。詳しい原因分析はこちらでは行いませんが、官民合同で行ってきたPR効果、ビザ発給の緩和、LCCなどの台頭による入国交通手段の多様化と価格の低下などがその主な要因となります。

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詳細を記憶する必要はありませんが、2015年の訪日外国人数に関して是非覚えておいておきたいのは「2,000万、1,000万、500万、500万」という数字です。こちらは2015年の総渡航者数が約2,000万人、そのうち中華圏(中国、台湾、香港)からの訪日数が約1,000万人、初めて渡航者数で世界一となった中国から約500万人、台湾、香港からの合計が500万人ということです。中国からの訪日客の6割強が日本に来るのが初めての観光客に対して、台湾、香港からの訪問者はその8割以上がリピーターと言う特徴があります。また、東南アジア諸国を含むアジア上位国からの合計は総訪日数の8割を占めます。この辺りは今後インバウンドブランディングを行うにあたり頭に入れておいた方が良いのではないかと思います。

なお、このような外国人観光客数は日本政府観光局から毎月半ばに発表され、更に詳細な数字をご覧になることが可能です。参考:訪日外客数 出典名「日本政府観光局(JNTO)」

このように着実な伸びを見せる外国人観光客数ですが、前述しましたように今後は3,000万人を境にある程度落ち着いてくるのではないかと予想しています。その原因としては空路、海路に限定された訪日交通手段が考えられます。日本が島国であるという事実は動かし難く、ヨーロッパのような陸路での入国は不可能です。空港、そして海外からの観光客を迎え入れる港のキャパシティ、整備等を考えると、ある一定の数字からの大幅な増加は望めないのではないかと予想されます。 とは言え、インバウンド市場はまだまだ成長が望めるマーケットであり、十分参入のメリットが期待できることには疑いの余地はありません。まずは、現状を把握し、今後の市場を予測しながら必要な対策を考え、実行し、検証し、より高みを目指していくお手伝いをさせていただきます。

次回は、世界のインバウンド市場と比べた場合の日本マーケットと今後の可能性についてお伝えさせていただきます。

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